「雪だー!」 窓から外を覗いていたかと思えば、急にドアへと駆け出していく。本を読む手をとめて外を見やると、ちらちらと雪が舞っている。いってきまあすと飛び出そうとするヒカリは、屋内用の薄い服しか着ていなかった。 「、上着を、」 「子供は風の子だからだいじょーぶですっ!」 ドアを開けながらターンするにあっけにとられ、にこりと笑うその姿に、思わずぼうと見惚れてしまった。けれど「でもゲンさんはあったかくしてきてくださいね!」その言葉に我に返り、苦笑した。から見れば、私は寒さに弱い“おじさん”なのだ。そんなことを考えながら、私は重い腰を上げる。そして、それと同時にドアが閉まった。 「あ、ゲンさん」 町の広場に行ってみると、いつの間にか私のルカリオも外に出ていた。と一緒になって、大きな雪玉を丸めている。昨晩にも雪が降ったというのはニュースで知っていたけれど、こんなにたくさんだとは思ってもみなかった。 「ほらほら!ゲンさんもせっかくですから一緒に遊びましょう!」 「――そうだね。せっかくだから、ね」 「ですよ!」 そう言って、胸の前でぐっと握り拳を作る。転がしていた雪玉のバランスが崩れ、ルカリオも不意をつかれたのか、支えきれずごろりとそれが転がった。 |