クラスメイトでかつ友達の純子と机を向かい合わせて昨日のドラマの話なんかをしながら適当に昼食をとっていると、教室の後ろの扉から小柄な男子がずかずかと入りこんできて、私たちのそばまでやってきた。

!」
「はい何でしょう」
「俺、お前のことすきになっちゃったんだけど!」

ぶー。純子が、飲んでいたいちごミルクを勢いよく噴き出した。「汚っ」あまりのことについ声に出してしまうと、むせながら「悪い」純子はポケットからどう見てもお前の趣味じゃないだろうと人に思わせる、ひらひらしたレースのハンカチを取り出した。

「てか、あなたどちらさんですか」
「え、、たじまくん知らないの?超がつくほどの有名人なのに」
「…あんたたじまっていうの?」

たじまくん(仮)を指差して尋ねると、たじまゆーいちろーだよ!と返された。たじまが苗字でゆういちろうが名前かなとか考えていたら、えーマジ知らない?キモーイ。田島くんを知らないのが許されるのは小学生までだよねー。などと言いながら、げらげらと純子さんは笑った。本人を目の前にしてそのパロをやるのはかなり失礼じゃなかろうかと思ったけれど、あんた誰とか訊いた私が言えることじゃないかもしれないな、と思い直して、言うのをやめた。

「なー、へんじは?」
「(純子も相当だけど、こいつもかなりマイペースな奴だな)悪いんだけど私田島くんのこと全然知らないし、」

つーかまともに顔見たのも初めてなわけで。でもかの純子さんは「いーじゃんすげーじゃん。付き合っちゃいなよ。付き合ってからでも色々知れるんだし問題ないでしょ」などと無責任なことをのたまうのであった。そして「たじまゆーいちろー」くんもなぜか「俺の方はの誕生日も血液型も住所も知ってるからだいじょーぶ!」どんと胸を張って、純子と一緒にけらけら笑い出したのである。(住所って、ストーカーかよ)この二人のテンションの高さについていけなくて、私は顔を引きつらせた。