「なんで抱きついてるの」
「二人っきりでむらむらしてきたから」
「まさに野生だね。アウストラロピテクスでももっと賢いんじゃないの」

あうすとらろぴてくすって何?田島は頭の悪い質問をしながら私を押し倒した。アウストラロピテクスも知らないとか、どんだけー、ですか。こいつは義務教育での九年間、一体何を学んでいたんだ。
(…きっと何も学んでないんだろうな)

「なんかあんたのアホさ加減に激しく萎えるんですけど」
「俺はテンション上がってきてるからだいじょーぶだって!」
「私は無理です。退きましょう」
「えーやだ」

ぐいぐいと田島の腕を押しのけようと努力してみるものの、そこはやっぱり男の子といった感じでびくともしない。それにこいつは運動部だし、いくら小柄だとはいえ、女の私との間には高い壁があるということだろうか。
そしてやめろと言っているのにも関わらず田島はスカートに手を伸ばし、私の太腿をなで始めた。本当にこいつは場の空気を読まない。呆れてものも言えなくなる。

諦めた瞬間ふと目に入った二の腕を見ていると、無性にファミチキが食べたくなってきた。